溝口優也が語る「売れる仕組み」の作り方|携帯販売から年商30億円へ──

SNSマーケティング市場が拡大を続けるなかで、多くの事業者がInstagram運用や動画コンテンツ制作に参入しています。しかし、そのなかで事業を継続的に成長させ、組織として大きく発展させている企業は決して多くありません。株式会社BUZZは、Instagramコンサルティングスクール「バズカレッジ」を中心に事業を展開し、現在では受講生2万人以上を抱えるまでに成長しました。さらに法人向けのSNS運用支援や人材育成事業なども手掛け、売上規模は30億円に達しています。

その成長を支えているのが、代表取締役の溝口優也氏です。現在はSNS業界を代表する経営者の一人として知られていますが、そのキャリアの出発点は意外にも携帯販売の現場でした。華やかな起業ストーリーというよりも、現場で顧客と向き合いながら積み重ねてきた経験が現在の経営の土台となっています。なぜ溝口氏は事業をここまで成長させることができたのでしょうか。その背景には、一貫して変わらない「売れる仕組み」に対する考え方がありました。

すべての原点は携帯販売の現場にあった

溝口氏は情報処理を学べる専門高校を卒業後、大手携帯販売会社へ就職しました。当時は起業を目指していたわけではなく、一般的な営業職としてキャリアをスタートさせています。

携帯販売の現場では、日々多くのお客様と接することになります。同じ商品を提案していても契約につながるケースとそうでないケースがあり、その差は商品そのものではなく顧客心理にあることを自然と学んでいったといいます。

携帯電話業界では、通信会社の乗り換えによるキャッシュバック施策が活発に行われていた時代がありました。店舗で接客を行うなかで、その仕組みを活用して利益を生み出している人たちの存在を知り、自身でも挑戦してみたところ収益化できることに気づきました。

ここで得た経験は単なる副収入ではありませんでした。世の中には情報の差によって利益が生まれる市場が存在し、その情報を活用できる人とそうでない人で結果が大きく変わるという事実を実感したのです。

現在のSNSビジネスにも通じる考え方ですが、良い商品やサービスがあっても、それを必要としている人に適切に届けられなければ価値は生まれません。携帯販売の現場で培われた顧客視点や提案力は、その後の事業展開にも大きな影響を与えることになります。

副業で始めたせどりが経営者への道を切り開いた

携帯販売の仕事を続ける一方で、溝口氏は副業としてせどりに取り組み始めます。

リサイクルショップなどで商品を仕入れ、インターネット上で販売するというシンプルなビジネスモデルですが、利益を出すためには市場調査や需要分析が欠かせません。どの商品に価値があり、どのタイミングで販売すれば利益が出るのかを徹底的に分析する必要があります。

せどりを続けるなかで、溝口氏は単に商品を売るだけでなく、そのノウハウをSNS上で発信するようになります。すると、発信内容を見た人たちから教えてほしいという問い合わせが集まるようになりました。

ここで注目したいのは、商品販売から情報提供へと事業モデルが自然に変化していった点です。多くの人は物販の利益を追求しますが、溝口氏は顧客が本当に求めているものは商品ではなく成果を出すための知識やノウハウであることに気づきました。

現在のバズカレッジにも通じる考え方ですが、単にサービスを提供するのではなく、顧客が成果を出せる環境を作ることに価値を見出していたのです。

副業収入が本業を上回るようになっても、すぐに独立したわけではありません。当時は店長に昇進したばかりであり、責任ある立場として葛藤もあったといいます。しかし、共同経営者となる人物から背中を押されたことで独立を決意し、2017年に起業への一歩を踏み出しました。

Instagram市場の可能性をいち早く見抜く

起業後、最初からSNS事業一本だったわけではありません。

当初は物販やEC事業が中心でした。海外から商品を仕入れ、インターネットで販売するビジネスにも取り組んでいましたが、その過程でInstagramを活用した集客に大きな手応えを感じたといいます。

当時はまだ現在ほど企業のInstagram活用が一般的ではありませんでした。しかし、自社の商品販売において高い集客効果が確認できたことで、今後はInstagramが重要な集客チャネルになると確信しました。

そこで事業の方向性を大きく転換します。

一般的な企業であれば市場調査や検討に時間をかける場面かもしれません。しかし溝口氏は短期間でカリキュラムを構築し、Instagramコンサルティングスクールを立ち上げました。

この意思決定の速さこそが、現在の株式会社BUZZの強みでもあります。

市場が伸びる前に参入し、先行者利益を獲得する。SNS業界の変化は非常に早いため、完璧な準備を待っていてはチャンスを逃してしまいます。溝口氏は携帯販売やせどり時代から培った市場感覚を活かし、成長市場を見極める力を発揮したのです。

売れる仕組みは営業力と組織力で完成する

現在の株式会社BUZZには約100名規模の営業体制があります。

SNS業界ではコンテンツ制作やマーケティングノウハウばかりが注目されがちですが、溝口氏は事業成長において営業力が不可欠だと考えています。

どれほど優れたサービスであっても、顧客に認知されなければ価値は生まれません。営業活動によって市場との接点を増やし、顧客の課題を把握しながらサービス改善につなげていく。この循環こそが事業成長を支える重要な要素となっています。

さらに特徴的なのが権限委譲を重視する組織運営です。

企業規模が拡大すると、すべての意思決定が経営者に集中しがちです。しかし、それでは組織のスピードが低下してしまいます。そこで株式会社BUZZでは各部署の責任者に大きな裁量を与え、迅速な意思決定ができる体制を構築しています。

経営者がすべてを管理するのではなく、信頼できる人材に任せることで組織全体の推進力を高める。この考え方もまた、現場経験を重視してきた溝口氏らしい経営スタイルといえるでしょう。

売上50億円に向けた次なる挑戦

現在の売上規模は30億円ですが、今後3年で50億円を目指しているといいます。

その成長戦略の柱となるのが法人向け事業の拡大です。これまで培ってきたSNS運用ノウハウを活用し、企業の集客支援や動画広告運用、人材育成などの領域を強化しています。

また、AIやデジタル技術への投資も積極的に進めています。すでに複数のシステムを自社開発し、業務効率化やコスト削減を実現しているといいます。SNS市場は今後も変化を続けることが予想されますが、その変化に対応するための基盤づくりにも余念がありません。

携帯販売の現場からスタートし、副業のせどりを経て起業家となった溝口優也氏。その歩みを振り返ると、一貫しているのは市場の変化を敏感に察知し、人が求める価値を見極め続けてきた姿勢です。

SNSという時代の追い風だけではなく、顧客理解と営業力、そして組織づくりへの徹底したこだわりこそが、株式会社BUZZを成長へ導いている最大の要因なのかもしれません。今後、売上50億円という新たな目標に向けて、同社がどのような進化を遂げるのか注目が集まります。

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